2018全米オープンでフィル・ミケルソンが感情的になり、罰を受けた内容を紹介します。
簡単に言うと、グリーン上でパッティングした後に動いている自分のボールを追いかけてそのまま転がっている状態のボールを故意に打ってしまいました。
ゴルフのルール上は問題ないのですが、ルールを利用して故意に動いているボールを打ったことが問題となり、その後のミケルソンの対応も最適ではなかったため物議を醸しました。
詳細を知りたい方は以下を読んでみてください。
前提として知っておきたいこと
そもそもの前提、事の発端は開催ゴルフ場か
まず最初に知っていただきたい前提があります。
それは、このゴルフ場(シネコックヒルズゴルフクラブ)で問題の起きる2018年よりも前、2004年にも全米オープンが行われており
選手等から大変なバッシングを受けたこと、グリーンアンジュレーション(傾斜)が激しすぎるのに、グリーンは速く、
グリーンオンしたボールや、パッティングしたボールさえも、次々とグリーンをこぼれ、ラフやバンカーへ行ってしまうというものです。
プレーをしている選手からすると、
例えば、3mのパットを残し、完璧にパターで打ったボールが、風の影響でラインに乗らずカップ横を通り過ぎた後、高速グリーンのため、そのままボールは止まらずにグリーンの外まで出たとします。
選手は「ほかのコースなら、普通にカップインしているはずなのに、何故今からアプローチをしなければならないのか」
「風の強さで結果が変わるならば、今までの練習や努力は何だったのか」
となってもおかしくありません。
風の強い時間帯や、スタート時間のずれで、「条件は皆同じ」と言いますが
一打に生活を賭けてプレーしていて、理不尽な事が立て続けに起きると、「不公平だ」
と思うのも無理はありません。
フィルミケルソンを庇うわけでは無いですが、ほかの大会でも、こういった事は前提である、という事を知っていただきたいです。
フィルミケルソンの行った行動
予選2日間で+6 35位タイ
問題の3日目の前半でスコアを2打落とし、
後半もスコアを2打落として迎えた
ミケルソンは13番(パー4)でフェアウエイからの第2打をグリーン右奥へ外すと、
アプローチした第3打はグリーンの逆側へこぼれ、第4打の返しのアプローチショットで2ピンの距離へと寄せました。
5打目となるパットは最初のアプローチと同じ向きからのパッティングになり、カップをオーバーすればまた何メートルも転がってしまうとわかっているボギーパットでした。
ミケルソンが打ったボールはカップを通り抜け、案の定勢いをどんどんと増していき、転がっていた。ミケルソンは自分の打ったボールを追いかけ、まだ動いているボールをパターでカップ方向へと打ち返しました。
そのパッティングはカップに当たるも、弾かれてしまい、オーバーします。
そして、7打目に当たるパットも外し、8打目でようやくカップイン。
実際には「8」でこのホールを終えたが、動いているボールを打ったことに対する2罰打が科せられ、このホールのスコアは「10」となりました。
そのままプレーを続けたミケルソンは、当然ながら「13番の5打目」が物議を醸しました。
フィルミケルソンに対するメディア等の意見
フィルミケルソンの、動いているボールを打った件について
日本のテレビ局の中継では戸張さんが「あれは全米オープンという舞台で、フィルミケルソンというスーパープレイヤーが、ゴルフをする子供達の前でするには相応しくない行為」
と言及しました。
アメリカのメディアも、ラウンド後にミケルソンに詰め寄り、
「ルールの侮辱ではないか」
「ルールを悪用したのではないか」
という質問をしました。
問題のプレーを終えたミケルソンを米メディアが、ミケルソンに詰め寄り、質問を投げかけました。
なぜ、動いているボールを打ったのか?
(以下、ミケルソン)
「ルールを最大限に活用した自分なりの処置だったのだ」
「2ペナになることは承知の上だった。2ペナを喜んで受けることで、行ったり来たりすることを回避したんだ」
「ルールの侮辱と受け取られてしまったら申し訳ない。でも、僕はそんなつもりはない。2罰打をあえて選ぶことで、行ったり来たりすることを避けた処置だった。ルールを侮辱するつもりなど全くなかった」
「アンプレアブルを宣言し、元の位置から打ち直すというのは、傾斜と風向きから、グレートな選択肢ではなかった」
ミケルソンのこの行為に対し、PGAツアーからの制裁はありませんでしたし、
日本国内のプロゴルファーからも、
「あれはありだと思う。反則ではなく、罰を受けたのだから。スコア誤記や、誤球とは異なり、失格になる様な行為ではない」
と仰っているいる方も居ました。
次の日(最終日)のミケルソン
次の日の同13番ホールにて、ミケルソンはカップインすると、両手を上げて大きなガッツポーズをし、観客は大盛り上がりでした。
これを持って終幕としたような雰囲気さえありました。
後日のミケルソン
後日ミケルソンは、知り合いのアメリカ報道局へメッセージで謝罪しました。
「冷静になるのに時間がかかった。適切ではない行為だったと今は思う」
と述べています。
松山英樹選手もパッティングしたボールがバンカーへ
同年の同コースにて、松山英樹選手も、グリーン上からパッティングしたボールが風と傾斜で止まらず、
グリーン脇のバンカーまで落ちてしまったホールがあります。
松山英樹選手はこの時、クラブにあたったり、叫んだりせずに、すぐにクラブを持ち替え、ピン下1mにつけるバンカーショットを打って凌ぎました。
また、ドライバーショットのテークバックからの切り返し時に子供の応援の声が大きく響いた時も
打った後に進藤キャディと苦笑いこそしましたが、怒る素振りは一切見せませんでした。
かつて、自分のプレーに怒り、グリーンを傷つけてしまった過ちなどはありますが、
2018年の全米オープンはさすが日本人で唯一予選を通過した松山英樹選手と言う立ち振る舞いでした。
個人的な感想 罰と違反
ミケルソンは、ゴルフに真剣に向き合って来たからこそ、自分に降りかかった不運が悔しかったのかと、私は思います。
優勝争いから離れていましたし、何よりも
ミケルソンからもらった感動は、このプレー1つでどうこうなるものではないし、
「ミケルソンがそんなことをするくらい難しいコース」
として、記憶に残りました。
また、アスリートの罰金制度には反対で、バスケットボールのNBAでよくみられる
「○○時間の社会奉仕活動」
という罰則が好きです。
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